まずは目的が違う!
大学付属校と進学校とでは、まずその目的が違います。
進学校は、中学・高校と6年間進んでいく中で、最終的に大学受験で良い実績を収めることを目的としています。
一方で大学付属校は、系列の大学への内部進学を目的としており、外部への大学受験を想定しないことが多いです。
両者のこの目的の違いから、「中学・高校での6年間の過ごし方」が大きく変わってきます。
また、その学校に入学するための「入試問題」の性質も異なってきます。そうすると必然的に「合格するための対策」も異なってきます。
以下、それぞれについて見ていきましょう。
中学・高校での6年間の過ごし方が違う
進学校に進むと、6年後の大学受験を見据えて、また受験勉強が始まります。
一般的な公立中学・高校よりもどんどんカリキュラムを前倒ししていき、有名大学・難関大学に合格するための学習を進めていきます。学校でのハードな宿題に加え、塾や予備校にさらに通い、忙しい生活を送ることがよく見られるケースです。
一方で、大学付属校に入学すると、6年後の大学受験を前提としないため、ゆとりを持った中学・高校生活を送ることが可能になります。受験勉強というワクに縛られることなく、自分の好きな分野の勉強や、スポーツ、部活動、その他様々なアクティビティに対して、自分の時間を確保できます。当然、進級や内部進学に向けたコツコツとした学習は必要ですが、常にプレッシャーのかかる大学受験に向けた疲労のたまる勉強は必要ありません。
また、付属校では、そのような余裕があるため、自分の将来についてじっくり考える時間も持てる他、大学と連携した講座やプログラム等で、未来のキャリアをより鮮明に考えることができます。
自由な時間が豊富にあるため、生徒たちがより個性を発揮して10代を送ることができるのも、大学付属校の良さです。
入試問題が違う
進学校は外部への大学受験、付属校は系列大学への内部進学をベースとしていることから、当然入試問題の性質・傾向も異なってきます。
将来的によりランクの高い大学にたくさん合格してほしいという思いがある進学校については、中学入試の段階から、選抜要素の強い難しい問題を課す傾向にあります。処理能力の高さや発想の鋭さなど、6年後の難関大入試において力を発揮する可能性の高い能力を持つ生徒を選び抜く試験となっていることが多いです。
一方で、大学付属校についてはそのような背景はありませんから、進学校とは違った方向性の入試問題になってきます。当然、基礎的な学びの土台は測られますが、それよりも上の部分については学校側の個性がたくさん出るところであります。「こんな生徒に来てほしい!」という思いが現れた試験問題になっています。単純に、より難しい問題が解ける力よりも、学校それぞれが大事にしている力・考え方を試す問題が多く登場します。
合格するための対策も違う
以上のように、進学校と大学付属校とでは入試問題の性質が大きく異なりますので、合格のためにとるべき対策は必然的に変わってきます。
例えば、大学付属校に合格するために、いわゆる御三家中や難関進学校を目指すような勉強は不要です。高度な論理的思考力や発想を要する勉強に時間をかけていては、むしろ合格が遠のきます。
また、よく誤解されがちなポイントでもありますが、「偏差値」と「入試問題難易度」はイコールではありません。同偏差値帯の学校でも、問題の質は大きく異なります。例えば、付属校である慶應義塾中等部の算数と、同じような偏差値帯にある進学校の問題を比べてみると、それはよく分かります。陸上競技における「短距離走」と「マラソン」のように、両者は競技性が変わってくるのです。
よって、御三家中などの難関進学校に対する合格指標を満遍なく重視しようとする大手集団塾のテキストや授業、課題は、付属校をターゲットとしているお子様には過剰な負担になっていることがほとんどです。
むしろ、基礎基本を徹底し、その上で目指している学校の入試問題に合わせた学習・演習を積んでいくことの方が効率的に合格率を高めることができます。その考え方が、次に紹介する「積み上げ思考学習の弊害と“逆算戦略”」です。
積み上げ思考学習の弊害と“逆算思考”
現状の多くの中学受験塾では、生徒たちに「積み上げ思考」での学習を課しています。これは、なるべく多くの難関校入試問題に対応できるよう、すべての学習事項・単元である一定の水準以上に達しようとする考え方です。図で表すと、下の画像のようなイメージです。
中学校ごとに様々な合格基準があります。それに達していれば合格となります。
達成できればもちろん良いですが、それには膨大な学習範囲をカバーするするための莫大な量を消化していかなければなりません。私たちは、これがすべてのお子様に当てはまる良いやり方とは考えません。様々な制約から現実問題難しい場合も多いですし、達成できなかったとしても負担だけは大きいからです。また、無事にブロックが積み上げられた分野がいくつか出来上がったとしても、それが受験校の実際の入試問題と離れていると合格は難しくなります。
一方で、私たち早慶ゼロワンのコンセプトは、志望校の入試問題からの“逆算戦略”です。
中学受験の土台となる基礎・基本の部分を丁寧に学習し、同時に「志望校」というゴールを見据えつつ、その学校の入試問題が解けるために必要な事柄を、時間をかけて学んでいきます。合格するために「何をやって」「何をやらないか」を決めて、戦略的に合格ラインを目指していきます。
早慶ゼロワンでは、個別指導の利点を最大限活かし、個々のゴールにあった学習を積んでいきます。